「働かなければいけないのは分かっている。でも、どうしても働くのが怖い」
「また体調を崩したらどうしよう」
「仕事が続かなかったらどうしよう」
病気を経験した方の中には、このような不安を抱えている方が少なくありません。
特にうつ病や双極性障害、不安障害、統合失調症などの精神疾患を経験した方は、社会復帰に対して強い不安を感じることがあります。
周囲からは「そろそろ働いたら?」と言われても、自分の中では大きな恐怖心があり、一歩を踏み出せないこともあるでしょう。
しかし、働くのが怖いと感じることは決しておかしいことではありません。
この記事では、働くことに恐怖を感じる理由や対処法、社会復帰に向けてできることについて、支援員の視点から解説します。
働くのが怖いと感じるのはおかしいことではない
まず最初にお伝えしたいことがあります。
それは、
ということです。
病気になる前は普通に働いていた方でも、一度体調を崩して休職や退職を経験すると、「また同じことが起こるのではないか」という不安を抱きやすくなります。
例えば、
- 職場で体調を崩した経験がある
- 人間関係で傷ついた経験がある
- 過度なストレスで病気になった
という経験がある場合、脳は「働く=危険」と認識してしまうことがあります。
これは自然な防衛反応です。
また、病気の回復途中では体力や集中力も低下していることがあり、「以前と同じように働けるだろうか」と不安になるのも当然です。
病気が原因で働くのが怖くなる主な理由
働くことへの恐怖には、いくつかの共通した理由があります。
体調悪化への不安
病気によって休職や退職を経験した方は、
「また具合が悪くなったらどうしよう」
という気持ちを強く抱えています。
実際に支援現場でも、
- 朝起きられなかったらどうしよう
- 通勤が続かなかったらどうしよう
- ストレスで再発したらどうしよう
という相談をよく受けます。
過去に辛い経験をしているからこそ、不安になるのは当然です。
人間関係への不安
仕事そのものよりも、人間関係を不安に感じる方も多くいます。
- 上司とうまくやれるだろうか
- 同僚に迷惑をかけないだろうか
- また傷つくことにならないだろうか
職場の人間関係はストレスの原因になりやすいため、不安を感じる方は少なくありません。
特に精神疾患を経験した方は、人との関わりに敏感になっている場合もあります。
仕事が続かない不安
過去に何度も離職を経験している場合、
「どうせまた続かない」
と思ってしまうことがあります。
職場環境や仕事内容、サポート体制など、さまざまな要因が関係しています。
周囲に迷惑をかける不安
精神疾患のある方は真面目な人が多く、
「自分が迷惑をかけてしまうのではないか」
と考えがちです。
- 急に休んだらどうしよう
- 作業が遅かったらどうしよう
- 周囲の負担になったらどうしよう
という不安から、働くことをためらってしまう人も多いです。
働くのが怖いときに無理をしてはいけない理由
働くことへの恐怖があるときは、焦らないことが重要です。
なぜ焦ってはいけないのか、無理をしてはいけないのか、理由を解説します。
焦って就職すると再び体調を崩すことがある
「早く働かなければ」
という気持ちから、十分な準備をしないまま就職してしまう方もいます。
しかし、準備不足の状態で働き始めると、
- 疲労が蓄積する
- ストレスが増える
- 体調が不安定になる
といった問題が起こりやすくなります。
「働かなければ」という思い込みに注意
もちろん働くことは大切です。
しかし、
「今すぐ働かなければいけない」
という考え方は、自分自身を追い込む原因になります。
今の自分に必要なのは、
- 治療
- 休養
- 準備
かもしれません。
焦る必要はありません。
準備期間も大切な時間
この期間は決して無駄ではありません。
働くための体力や生活リズムを整える大切な時間です。
遠回りに見えても、結果的には長く働くための近道になることがあります。
働くのが怖い人が社会復帰に向けてできること
働くのが怖いと感じている人が社会復帰に向けてできることはなんでしょうか。
具体的に何から始めればよいのか、解説します。
生活リズムを整える
まずは生活リズムを整えることが大切です。
- 毎日同じ時間に起きる
- 朝日を浴びる
- 決まった時間に食事をする
こうした習慣が社会復帰の土台になります。
外出習慣をつける
長期間自宅で過ごしていると、外出自体が負担になることがあります。
まずは、
- コンビニへ行く
- 散歩する
- 図書館へ行く
など、小さな外出から始めてみましょう。
小さな成功体験を積む
自信を取り戻すためには成功体験が必要です。
例えば、
- 朝起きられた
- 外出できた
- 週に数回活動できた
など、小さな「できた!」を積み重ねていきましょう。
一人で抱え込まない
不安があるときは、一人で抱え込まないことが大切です。
家族や主治医、支援機関など、相談できる相手を持つことで気持ちが楽になることがあります。
頼れるところは頼っていきましょう。
病気を抱えながら働く方法は一つではない
働き方にはさまざまな選択肢があります。
その中から、自分に合った働い方を探しましょう。
病気を抱えていても働きやすい働き方を紹介します。
障害者雇用という選択肢
- 通院配慮
- 勤務時間調整
- 業務内容の配慮
などを受けやすいのが特徴です。
ただし、障害者手帳がないと障害者雇用はできないため注意が必要です。
手帳が取れるかどうかは、主治医に相談してみましょう。
短時間勤務から始める
いきなりフルタイムで働く必要はありません。
まずは短時間勤務から始め、徐々に慣れていく方法もあります。
1日の勤務時間を減らすのか、1週間の勤務日数を減らすのか、
時短勤務でも、さまざまなスタイルがあります。
在宅ワークという働き方
通勤や人間関係に強い不安がある方には、在宅ワークが合う場合もあります。
自分のペースで働きやすい点がメリットです。
一人での社会復帰が不安なら就労移行支援という選択肢もある
一人での就活は何かと不安がつきものです。
そこで、社会復帰に不安がある方におすすめなのが就労移行支援です。
就労移行支援とは
就労移行支援とは、障害のある方が一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。

働く準備をしながら就職を目指せる
就労移行支援では、
- 生活リズムの改善
- パソコン訓練
- コミュニケーション訓練
などを行いながら就職を目指します。
精神疾患のある方も多く利用している
利用者の中には、
- うつ病
- 双極性障害
- 不安障害
- 統合失調症
などの精神疾患を抱える方も多くいます。
就職後もサポートが受けられる
就職したらサポートが終わるわけではなく、定着支援も受けられるため安心して働き続けやすくなります。
定着支援とは、就職後も支援員との面談時間を設け、困っていることなど相談することができます。
企業との間に支援機関が入ることで、長く働いてもらうことを目的としています。
Q&A
Q:働くのが怖いのは甘えですか?
A:甘えではありません。
病気を経験した方が不安を感じるのは自然なことです。
Q:働く自信がない場合はどうしたらいいですか?
A:まずは生活リズムや外出習慣など、小さな目標から取り組みましょう。
Q:就労移行支援は誰でも利用できますか?
A:障害や難病のある方が対象です。自治体や状況によって利用条件が異なります。
Q:社会復帰までどれくらいかかりますか?
A:人によって異なります。数か月の方もいれば、1年以上かけて準備する方もいます。
まとめ
働くのが怖いと感じるのは決しておかしいことではありません。
病気を経験した方だからこそ、不安になるのは自然なことです。
大切なのは、
- 焦らないこと
- 自分を責めないこと
- 一歩ずつ準備を進めること
です。
もし一人での社会復帰が不安なら、就労移行支援などの支援制度を活用する方法もあります。
あなたのペースで、少しずつ前へ進んでいきましょう。
